ニュータイプはガンダムにとって難しいテーマだ。特に初代ガンダムには子供から大人に成長する過程を描くと言う割と現実的なテーマが有って、ストーリーは基本的にそのラインに沿って流れて行く。そこに取って付けたようにニュータイプというもう一つのテーマが入り込み、ストーリー全体に馴染んでいない感じが僅かにある。
しかし一方で、そのごった煮的な感じがガンダムという作品に魅力とパワーを与えている事も事実。さらにガンダムのニュータイプ論は初代で完結するのでは無く、後々の作品を経て徐々にその全貌が明らかになる感じが有る。だから、初代におけるニュータイプの描き方は全て見せる必要は無く、あくまでもイントロデュースで良いというのが個人的な考えだ。
ニュータイプという超越的な概念を示しながらも、結局は現実の中で生きざるを得ないよねという事を初代のラストシーンは示している。こういう物事に多面的な側面が有るという事を示しているのが初代ガンダムの良さであって、それは初代の特徴である群像劇という作劇手法と親和性が高い。
超越的な世界で宇宙の深淵を見た後に現実的世界に帰って行く。そういう超越的な世界と現実的な世界の中で揺れ動く人間を描いているのが初代ガンダムだと解釈している。その張りつめた超越的な精神世界から、ホワイトベースのクルーと言う現実的な世界に戻って来たというこの緊張と緩和がラストシーンの感動を生み出している。
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