2019年4月30日火曜日

ジャブロー降下作戦

 新訳ガンダムの世界では、ジャブロー降下作戦は大戦後半でジオンが成功させた数少ない作戦の一つであるとする。なぜなら占領を目的としない単純な破壊行為という作戦行動こそモビルスーツの本領が発揮される場面だからだ。
 
 ジャブロー降下作戦は地球上でジオン軍の旗色が悪くなった状態で行われた。開戦当初からジオン軍の主要な攻撃目的であったジャブローの連邦軍基地であるが、ジオン軍としてはオデッサで敗退した後、これ以上旗色が悪くなり戦力が低下する前にジャブローを叩いておきたいという考えが有ったため、ホワイトベースが入港するタイミングを狙って急遽作戦の決行が決定された。

 この作戦は一般に言われているように元より占領は意図しておらず、当時の動員可能なジオン軍の戦力を結集させてジャブローの連邦軍基地に最大限の損害を与える事が目的であった。よって降下させたのはモビルスーツのみであり、それ以外には航空機による支援爆撃等と河川砲艦からの艦砲射撃が行われたのみである。ジャブローに最大限の損害を与える事でその後の地球と宇宙の両面での戦いがジオンに有利になると言う事を狙っての作戦であった。





 新訳ガンダムではジオン軍の河川砲艦も参加した事にする。これらの河川砲艦は地球降下後に現地軍から接収あるいは購入したものである。パイロットの脱出用なので隠密行動を取り、攻撃には参加していない。



 なおジャブロー降下作戦の戦力はベネズエラのカラカス基地から発進している。カラカス基地はオリジンでジャブロー攻略指令本部が有った場所だ。



 現在のカラカス(ベネズエラの首都)の風景。海に面しており、潜水艦を多用するジオン軍の基地としては適していた。北米の拠点から発進した軍によって比較的早期に占領され、ジオン軍の南米唯一の拠点として機能していた。



 新訳ガンダムではこの作戦に投入されたモビルスーツは地上から侵入した水陸両用モビルスーツを合わせると120機前後で、40%近くが生き残り脱出に成功し、連邦軍の基地、宇宙港、兵器工廠に大きな損害を与える事に成功した。



モビルスーツの携行火器に関しては、対戦車や対MSを考慮するとマシンガン等の方が有効であったが、基地施設へ損害を与えるためにはバズーカ等の重火器が必要になった。そこでモビルスーツの降下は二回にわけて行われ、第一次降下部隊はマシンガンを主に携行し地上戦力の殲滅にあたり、第二次降下部隊はバズーカを主に携行し基地施設を破壊するという戦略が取られた。連邦軍の高官が「少なすぎる」と評したのは第一次降下部隊のみを指しての事である。



 もちろん降下するモビルスーツはガウで輸送された。カラカス基地から飛び立ったガウは第一次モビルスーツ隊を降下させた後、再びカラカス基地まで戻り、第二次モビルスーツ隊を積んでからジャブローまで輸送した。



 ガウの編隊はモビルスーツ降下前に爆撃を行い、ドップ等の戦闘機がモビルスーツ降下後も制空権を確保するために連邦軍の戦闘機とドッグファイトを繰り広げた。




 ちなみに水陸両用モビルスーツ群は川づたいに潜航し、ジャブローに侵入した。ゴッグは特に重要な役割を果たしたモビルスーツでミサイルランチャーを使用して基地の外壁を破壊し、モビルスーツの基地侵入を助けた。



 なお、当然の事だが、降下したモビルスーツ隊には攻撃後の脱出経路が指示されていた。攻撃継続時間はもとより30分など限定されたものであり、その後は各員すみやかに脱出する事が指示されていたのだった。脱出方法は以下の3つが用意されていた。なお撃墜された戦闘機などのパイロットも加えると回収するべき人数は割と多い。また、水陸両用モビルスーツは基本的に川づたいに潜航して脱出した。作戦の性質上、手厚い脱出対策を施しておく事は兵の士気を維持するうえで必要不可欠であった。

(1)ベースジャバー(新訳ではドダイYSの変わりにこの時期に既に存在):低空にベースジャバーを飛ばし、作戦終了後のモビルスーツの回収を行った。モビルスーツを回収出来るという点で理想的な脱出方法である。なおベースジャバーは武器弾薬の補給にも利用された。



(2)河川砲艦:作戦開始と同時にジャブロー近郊まで河川砲艦が侵入し、作戦終了後にパイロットを回収した。この場合モビルスーツは小破あるいは大破されており、ベースジャバーまでジャンプ出来ない状態であった。パイロットはモビルスーツを放棄しコクピットから脱出した後、パーソナルジェットで河川砲艦まで移動した。なおこれら河川砲艦は現地軍から接収あるいは購入したものであり、10隻あまりが作戦に参加。作戦終了後も出来るだけ多くのパイロットを回収するため現地に留まり、そこで戦闘に巻き込まれた。



(3)潜水艇:モビルスーツを放棄したものの、パーソナルジェットの故障などで河川砲艦までたどり着けなかった兵士の脱出用に潜水艇が用意された。これら潜水艇はあらかじめ現地の傭兵を雇って指定されたポイントに50機ほど用意されていた。実際に使用されたのは半分以下だったが、中には作戦終了後も数日間現地に潜伏を余儀なくされ、その後に潜水艇までたどり着いて脱出したパイロットもいたと言う。



 なお、この戦いで連邦軍基地を防御したジムはその多くが陸戦型では無い。なぜならジャブローの宇宙港からサラミスやマゼランと共に宇宙に打ち上げられる予定のジム達がメインであったからだ。ジャブローではモビルスーツの製造からパイロットの養成まで行っていたので、応戦したモビルスーツの数は少なく無いのだが、パイロットの練度という点で大きく劣っていた。



 この作戦によってソロモンやアバオアクーの攻略に投入される予定だった連邦軍の艦船数が実質的に25%近く減少する事になり、またソロモン攻略戦の開始も遅らせる事に成功した。ジャブロー降下作戦が成功に終わった大きな理由はジオン軍の専売特許であるモビルスーツという大型軌道兵器が地域制圧では無く単純な破壊行動に適しているという特性を考えると当然の事であった。そして言うまでも無くこの作戦の成功はジオン国内で大々的に宣伝されたのだった。

 ただ、実際にはやはり強固に保護されたジャブローの地下基地を破壊しつくす事は難しく、宇宙艦船やモビルスーツ等を徹底して破壊するという所までは至らなかった。それでも宇宙艦の打ち上げ施設等を破壊する事により連邦軍が受けた被害は大きい。作戦開始直後にはジオンの行動を察知した連邦軍が数隻の艦船を強行射出している。これ自体は成功したが、逆に打ち上げ施設の所在を知らしめる事になった。



 カラカス基地については作戦終了後に放棄された。なぜなら対空防御網がズタズタにされたジャブロー基地を守るために連邦軍が(ジャブロー降下作戦によって戦力が大幅に減少した)カラカス基地を攻撃してくる事は明らかであり、これを防御する事は難しいと判断されたためである。



 なおジャブロー攻撃後は破壊され尽くしたジャブローの対空防御を担う目的で、周辺の河川に河川砲艦が大量に配備され、その中で基地の修復が進むという異常事態が発生していた。



 ジャブロー降下作戦は地球上でのジオン軍の最後の大規模作戦行動であり、それ以降は散発的な小規模軍事行動を取る事が精一杯であった。地球上には小規模なジオンの占領地、拠点、支配都市が点在する状況となり、連邦軍としてはそれらを叩く事よりも宇宙でジオン本国を攻略した後に降伏を促す方が合理的だと考え、地球上には終戦までの間、一種のこう着状態が生まれた。一方でこの判断が地球上へのジオンの浸透を深める事となり、戦後のジオン残党によるゲリラやテロを生み出す一つの要因となった。



 ジオン軍のジャブロー降下作戦参加戦力

 ガウ攻撃空母 約20機
 戦闘機&戦闘爆撃機 約60機
 降下モビルスーツ(ザク、グフ、ドム)約90機
 水陸両用モビルスーツ 約30機
 ベースジャバー 約40機
 脱出用河川砲艦 10隻
 脱出用小型潜水艇 約50機

 参加モビルスーツ詳細

 ザクタイプ 約50機
 
 グフタイプ 約15機
 

 ドムタイプ 約25機
 

 ゴッグ 約10機
 

 ズゴック 約5機
 

 アッガイ 約10機
 
 ザクマリナー 約5機

 

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