2019年4月10日水曜日

MSパイロット

 ガルマはなぜドップをメインに使っていたのかと言うと、それは戦闘機のパイロットこそが当時はエリートであったからだ。ルウム戦役など緒戦のMSの大選果をもってその常識は覆されたが、それでもジオン独立戦争の前半はまだ戦闘機のパイロットこそがエリートという風潮であった。

 そしてMSのパイロットはと言うと、実は下級兵士が多かった。その大きな原因が、ジオンは10年近く前から開戦を見越してモビルスーツの開発に取り組み、その前段階として作業用のモビルワーカーを開発していた事にある。これらモビルワーカーは各種肉体労働の現場で使用され、今で言う所のフォークリフトに近い存在であった。そのため、それらのパイロットは主に労働者階級や軍の作業員であり、彼等が開戦直前に好条件で大量にMSパイロットとして雇用されたのであった。もちろんジオンはそうした事を全て計画的に行っていたのだった。



 この代表的な例が黒い三連星で、彼等は開戦前はコロニーの港湾作業に従事するモビルワーカーの操縦士であった。ジオンはモビルワーカーの操縦士をモビルスーツ乗りに転用する事を当初から計画していたから、戦争前よりモビルワーカーを用いた競技大会を積極的に開催しており、有能な者をリストアップしていたのだった。そこで特に目を惹いたのがガイア、マッシュ、オルテガの3人からなるチームで当時から全身黒に塗装したモビルワーカーが彼等のトレードマークであった。ジオン軍は彼等を当然、かなりの好待遇で軍に引き抜いたのであった。


 このように、ジオンはかなり早い段階からMSパイロットの育成に着手していたため、ジオン独立戦争時のジオンと連邦のパイロットの技量差はかなりの開きがあった。性能で言えば、連邦軍が満を持して量産化したジムの上位機種はゲルググとほぼ同等の性能を誇っていた。にもかかわらずMS同士の戦闘ではジオンの方が相当大きな選果を挙げていた。それは経験の差を考慮すれば当然の事であった。

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