2019年4月30日火曜日

ジオンの地球侵攻作戦

 ジオンの地球侵攻作戦の目的は一般には「資源確保」と「連邦軍の基地破壊」と言われているが、地球の、出来れば完全、少なくとも部分的な「支配」も大きな目的であったはずである。なぜならジオンの戦争目的は独立であるのだが、サイド3以外が全て連邦側と言う状況下にあっては攻めて来る連邦軍を叩くだけでは不十分で、現行の連邦政府を完全に破壊する必要があるからだ。それが出来なければいくら連邦軍を叩いても、また再び戦力が補強されて攻撃してくるので完全な独立は不可能である。



 このように、地球の領土支配という目的が有ったからこそ、多くのモビルスーツや人員を地球に降下させる事が出来たのだろう。資源確保だけが目的ならそのために多大な資源を投入するのは馬鹿げているし、基地破壊だけが目的なら宇宙からでも出来ない事は無いからだ。そして、こうした地球支配というビジョンがあったからこそ、戦後もジオンの残党が地球上の有象無象と結託して潜伏する事が出来たのだった。



 こうした前提で考えると、ジオン独立戦争後の地球連邦政府は秩序が大きく乱れた状態に有り一枚岩では無かった事になる。それがティターンズの台頭とエウーゴの発足を許し、グリプス戦役に繋がったのだ。



 なお、オデッサ作戦でジオンは破れたが、それは黒海沿岸地域からのジオン完全撤退を意味するものでは無かった。陥落したのはあくまでもジオンのオデッサ中央基地であり、その周辺の都市などにもジオンの駐屯地は多数形成されており、そうした地域はオデッサ作戦後もジオンの勢力下に留まり続けた。連邦軍はこれを排除殲滅する事は可能であったが市民や連邦軍に多大な犠牲が出る事を考慮すると、宇宙でジオン本国を降伏させて戦争に勝利した後にそれらの残留ジオン軍に投降を呼びかける方がはるかに合理的であったかので、一種の膠着状態が生まれた。こうした判断の元、オデッサに残留するジオン軍の小規模駐屯地については基本的には現状が維持され、地元住民との間にも秩序が形成されて、連邦軍との間にも一種の馴れ合いとも言える状態が形成されていた。極稀に駐屯地外で散発的な小規模戦闘が発生した程度である。例えば駐屯地間を移動しようとするジオン軍のモビルスーツや車両などはやはり連邦軍に攻撃されていた。そうした連邦軍の監視の眼をくぐってでも駐屯地間での物資の融通などが行われていたのだった。

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