2019年5月9日木曜日

グラナダとフォン•ブラウン

 グラナダとフォンブラウンという月面都市の大戦中の状況について。
 

 公式設定ではグラナダとフォンブラウンは開戦直後にキシリアの部隊によって制圧された事になっている。ここではこの点について考えてみたい。


 グラナダとは月の裏側にある月面都市で、サイド3建設のための基地だったものが都市化したもので、フォンブラウンはその裏側の地球側に位置する月面都市だ。(ここまでは設定通り)


 これらの都市は設定では「市」扱いだが、実際には一つの国家としての行政機能を備えているため、新約では「市国」と呼びたい。つまりグラナダ市国とフォン•ブラウン市国だ。クレーターを利用して放射状に市街地が広がっている。


 グラナダ市国はそもそも完全な親ジオンであった。サイド3に向き合っているので、サイド3の建設時代から数々の労働者が行き来してきた事もあってジオン関係者も非常に多い。またサイド3におけるレジャー用コロニーはグラナダ市民にとって人気のリゾート施設となっていたのだった。

 連邦軍はジオンが軍事大国化するにつれてグラナダ市国あるいはその近郊に拠点を建設しようと画策してきたが、常に市民の大多数の反対に合い断念してきた。親ジオン派でなくともジオンの目と鼻の先であるグラナダに連邦軍基地を置く事で戦争に巻き込まれる事は明白だったからだ。一方、フォンブラウン市国は比較的連邦に協力的だった。そのため連邦軍の拠点はフォンブラウン近郊に建設され、一個艦隊がジオンを牽制する目的で駐留していた。


 ジオンは開戦と同時にまずグラナダ近郊に展開していたフォンブラウンからの連邦軍艦隊を攻撃したが、元々グラナダを放棄していた連邦軍は戦わずしてフォンブラウンに撤退。ジオンは無傷でグラナダの制宙権を掌握し、その親ジオン政権と同盟条約を締結。グラナダは開戦後まもなくジオンの同盟国となった。

 一方フォンブラウンは抵抗した。グラナダからあっさりと連邦軍艦隊が撤退したのもフォンブラウンを重視していたからである。しかしフォンブラウン防衛軍と連邦軍が協力しジオンの艦隊に応戦するも短期間で敗退し、フォンブラウンはジオンの占領地となる。

ジオンのモビルスーツ部隊に応戦するフォンブラウン駐留の連邦軍艦隊


 しかしジオンはフォンブラウン市国に被占領地である事を求めていたのでは無かった。そもそも反ジオン派を多く含む国民を管理していく事は国力に劣るジオンにとって重荷でしか無い。ジオンから見て月の裏側に位置するフォンブラウンを占領し続ける事で兵站線も無駄に伸びるので効率が悪い事は明白だった。

 そこでジオンは占領後に傀儡政権をフォンブラウン市国に打ち立て、中立宣言を行わせた。これは南極条約の中で確認された事であり、既にジオンはルウムの宙域を制圧していたため、連邦軍がフォンブラウンを奪取するのは不可能な状態であった。既に自分達の手が届かなくなったフォンブラウンが中立宣言をするのを連邦軍は受け入れるしか無かった。


 このようにフォンブラウンを中立化させた事には勿論理由が有る。フォンブラウンは基本的に連邦寄りであったが、それは当時の一般的政治スタンスにすぎず、実際には内部に多くのジオンシンパや関係者が生活し、あるいは諜報員として潜り込んでいた。そのためフォンブラウンを政治的にコントロールする事はジオンにとって用意であったし、その状況は傀儡政権の樹立によってますます助長された。

 つまりジオンは月面に同盟国であるグラナダと中立国であるフォンブラウンという2つのクッションを得る事になったのだ。この2つのクッションを利用して大戦中もジオンは他のサイドや地球との接触や物資のやりとりを行っていた。つまり他サイドからの物資がまずフォンブラウンに到着しグラナダ経由でジオンに届けられるといった事が行われていたのだ。そしてグラナダを併合せずに同盟国にとどめておいたのもこのためであった。

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