2019年5月13日月曜日

オリジン版キャスバルの矛盾点


オリジン版キャスバルには矛盾点が有る。

 ザビ家のエージェントにジオン入国直前まで狙われていたのなら、その容姿もバッチリとザビ家内に知れ渡っていたはずなのでいくらサングラスをかけていたとしても士官学校に入った時点で即バレだっただろう。

 と言う点である。さらに挙げると、

 本物のシャアとキャスバルと言うウリ2つの人物が同行していたという事をエージェントが察知したなら、その区別に非常に神経を使うはずなので、最後に爆死したのが本物のシャアかキャスバルかという事にもっと注意するだろうと言う事。その直後の便でキャスバルが出航しているのだからなおさらである。また空港のセキュリティチェッカーも似た容姿の2人が続いて出航するという事で怪しまないわけが無い。

 また、

 キャスバルの同居人で瓜二つだった本物のシャアも当然マークされているだろう。その本物のシャアが士官学校に入ると同時にサングラスをかけ始めたら当然のように疑われるはず。

 以上の点から、オリジン版のすり替わり方法には非常に大きな矛盾が有る。

 ではどのようにしてすり替われば良いのだろうか。いくら考えてみた所でザビ家の暗殺者が迫っている以上、ジオン入国直前までシャアの容姿はザビ家に筒抜けであったのだから、よほど大胆に容姿を変えない以上、すり替わりは難しいだろうと言う結論に到達する。ここは思い切って基礎設定を変えてみる必要が有るのでは無いか。

 そもそも、ダイクンとザビ家は政争などしていなかった。ただダイクンが暴走してジオニズム一派の政治的立場を危うくしているという状況が有っただけだ。そのため黒幕はダイクンを邪魔者として政治的手腕に長けたザビ家に権力を握らせたいがためにダイクンを暗殺したのである。そしてその事はザビ家ではデギンしか知らない。そしてダイクン派で暗殺の確証を掴んだのはジンバラルのみであった。

 ジンバラルはそれゆえ、命を狙われていた。ザビ家では無く、その黒幕のエージェントにだ。彼等はジンバラルを消したかっただけなのだが、ジンバラルの方で勝手にキャスバルとアルテイシアも危ないと判断して彼等を地球に連れ出した。一方ザビ家はと言うとジンバラルもキャスバルもアルテイシアもむしろ殺したくは無かった。なぜなら当時デギンによるダイクン暗殺は都市伝説として流布されていたので下手に彼等を殺すと余計に怪しまれる事になるからだ。そのため裏事情を知っているデギンはギレンやキシリアに命じてダイクンの遺族を囲い始めた。これがダイクン遺族にとっては監禁されていると言う被害者意識を生み出す結果になると同時に幼いキャスバルとアルテイシアにトラウマを残す。

 地球(ヨーロッパ)に降り立った彼等は平和に暮らしていた。テアボロ•マス家に養子に入り、ジンバラルもキャスバルもアルテイシアも名前を変えたため「ジオンから遠く離れた地球で名前を変えた人間がダイクン暗殺説を唱えた所で何の影響力も持たない」と判断した暗殺者は一時的に彼等をマークから外した。そもそもダイクン暗殺説などは当時はそこらじゅうに転がってる与太話扱いだったからだ。エージェントは影響力の無い人間を敢えて殺す事で波風を立てて逆効果になる事を嫌ったのだ。

 シャアはと言うと基本的に普通の子として育っていたが、時おり「僕はダイクンの息子、キャスバルだぞ」等と口走ってワルのグループに突っかかっていたので子供の頃は軽くいじめられていた。しかしある時、タイマンでの実力を発揮する機会が有り、地元のリーダーをボコボコに打ちのめしたためバイクチーム(暴走族)のリーダーとなっていく。なお赤い彗星とはこの頃の通り名である。また、シャアはジンバラルから英才教育を受けていたため頭も良かったので伝説的な存在となっていった。こうしてシャアがジオンの事など忘れかけていた高校2年くらいの時に異変が起きる。

 ジオンが軍事国家として急成長し、ザビ家も増長して、ソロモンの不法占拠が始まった事から世界的な問題となっていたのだった。この時、ザビ家の横暴ぶりに業を煮やしたジンバラルは自分の正体をあかし、ザビ家によるダイクン暗殺の顛末を方々で触れ回り始めたため、暗殺されてしまう。さらに残されたテアボロとキャスバルとアルテイシアもジオンの遺児であるという事がバレ、無思慮な野次馬的群衆から窓を石で割られる等のバッシングを受ける事になり、これをキッカケにテアボロとキャスバルとアルテイシアはサイド6に移住する事になる。富裕層の多いサイド6は他人に無関心で争いごとを好まなかったので彼等には居心地が良かったのだ。(オリジンはサイド5だが、サイド3に近いので避けた)

 なお、否応無くザビ家やジオンといった自分のルーツにまつわる問題の根の深さを思い知らされたキャスバルはサイド6で1年ほど暮らした後、ジオンに潜り込み、かつてジンバラルが自分に説いたように、ザビ家からジオンを取り戻す決意をする。このサイド6時代にジオン士官学校に入校するための猛勉強をしておりセイラもそれに気がついていた。そしてサイド3の旧ダイクン派の助けも借りてシャア•アズナブルの偽名を取得しジオンに入国する事に成功したのだった。個人用宇宙艇で死亡という狂言策を打ってセイラまで欺いての行動であった。

 ただしシャアはその直前にセイラに別れの言葉をわざわざ言うなど思わせぶりな行動を敢えてとったので、セイラはキャスバルの死に懐疑的だったのだ。そしてセイラはキャスバルの動向を探るためジオン派の多いサイド5に引っ越し、そこでルウム戦役の混乱に巻き込まれてサイド7に移住する事になる。

 なお、この時のシャアはジンバラルを襲ったのはザビ家のエージェントだと考えていた。そのためジオンに入国するのに金髪ではマズいと考えて髪の毛を赤毛に染めていた。士官学校時代のシャアは赤毛だったのだ。その後、士官学校でドズルの反応を見てこりゃ全く気がついていないなという安心感から、暁の蜂起後の地球時代に金髪に戻している。これをシャアは大戦中、上層部には赤毛が地毛で金髪に染めていると言い通して来た。現場の兵士達はそれが嘘である事は知っていたが、そんな事は別に気にもとめなかった。

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