ブリティッシュ作戦のコロニー落としで最大の被害を受けたオーストラリアは特に東部で都市機能が麻痺しており、オーストラリア全土も戦災者であふれていた。宇宙世紀に入り、西海岸の開発も進んでいたが、その西海岸に東海岸からの避難民が殺到したためだ。
連邦政府はコロニー落下の直後から被害状況の調査と救難のためにオーストラリアに連邦軍を派遣していたため、南極条約の時点では既に連邦軍がオーストラリアの市民生活の中に浸透しきっていた。
ジオンとしては、そうしたオーストラリアに侵攻したとしても占領し続ける事は極めて困難であるし、オーストラリア国民を管理するだけの国力もジオンには無い。またその過程で引き起こす混乱によって地球圏全体の世論を完全に敵に回す事を恐れた。連邦としても混迷を極めるオーストラリアでジオンと交戦する余裕は無かった。
このためジオンは南極条約で連邦との間にオーストラリアへの不可侵条約を結び、コロニー落下の後始末を連邦に押し付けた。ジャブローに落ちるはずだったコロニーの進路を変えたのは連邦であると言う論法であった。また、ジオンはブリティッシュ作戦やルウム戦役で傷ついた多くのコロニーの支配権を手放している。こうした事と引き換えにジオンはブリティッシュ作戦やルウム戦役で被害を受けたコロニー群の移動や後始末にかかる費用や資源の負担を連邦軍に全て押し付けたのだった。レビルの演説で連邦軍が抗戦を決意したと言っても緒戦はジオンの圧勝であったので、これらは実質的にジオンによる賠償金の請求に等しかった。
ところが、この不可侵条約を隠れ蓑に連邦軍はトリントン基地に極秘裏に南極条約で禁止されている核ミサイルを配備した。これを察知したジオンの特殊部隊がトリントン基地制圧作戦を実行する。
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