2019年5月16日木曜日

ランバラル隊の最期

 地球に派遣されたランバラルはガルマの仇としてホワイトベースを撃破すれば地球にかえしてやるとドズルに持ちかけられ、これを快諾した。そしてグフを始めとするモビルスーツ隊を撃破されたランバラル隊はオデッサ基地のマクベにMSの補給を要請する。


 しかしマクベとしてはオデッサ防衛戦を間近に控えていたため3機のザクが限度であった。何よりマクベはランバラルをオデッサ防衛戦で使いたいので対ホワイトベース戦でランバラル隊を消耗させる事には消極的だったのだ。そのためマクベはランバラルに「深追いはするな、木馬の脚を止めるだけで良い。」と言った。なおドズルはドムの補給を命じたがマクベはオデッサ基地の防衛戦に必要という判断からそれを握りつぶしていた。もちろんマクベはラルが地球に帰るという条件でホワイトベースに挑んでいる事は知らない。「敵討ち等と愚かな。」マクベは一人つぶやいた。


 このような中、3機のザクがラルに届けられた。しかしラルはザク3機ではホワイトベースに勝てない事を知っていた。そこでザク(原作では1機)を陽動に使いホワイトベースに白兵戦で乗り込むという作戦に出る事にしたのだ。


 勝機は有った。まず直近の戦いでガンダムが傷ついておりまだ使えないだろうと言う事。さらに捕虜になったコズンからの連絡でホワイトベースには素人が多いと言う事が解っていた事だ。そういうホワイトベースなら分厚い装甲を外から叩くよりも中に入って占拠した方が早いのではと読んだのだ。


 ラル隊の隊員達は危険な作戦だとは理解していたが、ホワイトベースを撃破出来なかった場合、オデッサ防衛戦に招集される事は明確であり、その場合は戦死するか捕虜になる可能性が高いだろうと考えていたので、早期にホワイトベースを叩いて宇宙に帰りたかったので作戦を支持したのだ。


 ランバラル隊の兵士達は1年近くに渡る地球暮らしをしていたのでサイド3に帰りたがっている者が多かったし、連邦軍がオデッサ基地攻略戦のために大掛かりな準備をしている事も知っていた。ランバラルにしても、それにつき合うほどマクベに対する忠誠心は持ち合わせていなかった。さらにドズルがマクベをあまり信用していなかったので、ランバラルをオデッサ防衛戦に参加させるとマクベに前線に送られてしまい、ランバラルを失うのでは無いかと考えていた。そのためドズルは出来ればランバラルをオデッサ防衛戦の前に宇宙に帰らせたく、そのための口実となる任務も用意していたのだ。


 こうして作戦は始まり、ラル隊がホワイトベースに乗り込んで行く。ここでホワイトベースは「ジオン兵の投降を許すな」という艦内放送を流した。ホワイトベースにはもはや捕虜を養う余裕は無いからだ。しかしそれだと逃げ場を失ったジオン兵が死にものぐるいになる事で却って被害が大きくなる事が予測されたので、同時に「侵入口から追い出せ」という艦内放送も流す。これによって一部のジオン兵が及び腰になった事で戦況はホワイトベース隊に有利になった。勿論、ラルがアルテイシアを見つけて動揺した事も原因だ。


 なお、アムロは陸戦隊に対応した後、一部損壊したガンダムを奪取されないためにホワイトベースの外に出した。ここで追いつめられたランバラルはガンダムの眼前で自爆を遂げた。ホワイトベース内で生き残った数名のジオンの負傷兵達は自決したり注射によって安楽死させられたりした。戦闘中に銃殺された負傷兵もいた。ホワイトベースのクルーにも負傷者が出ている状況でジオンの負傷者まで構っている余裕は無かったのだ。


 残されたハモン等、ラル隊の残党はそれでもオデッサに駆り出されるよりはホワイトベース撃破に望みをかけた方がマシという判断とランバラルの仇を討つという考えで再び攻撃をしかける事にした。今度はモビルスーツの補給は無しだ。ここでマクベに連絡するとホワイトベース追撃を諦めてオデッサ基地に帰投しろという指令が出る可能性が有ったからだ。残ったモビルスーツはザク1機であった。


 ハモン達はザクや戦車で陽動をかけてホワイトベースをおびき出し、爆薬を積んだギャロップのカーゴをぶつけるという作戦を立てた。しかし結果は知っての通りハモン隊の敗北に終わり、ジオン兵達のサイド3帰還の夢は露と消えた。そしてホワイトベースではリュウ•ホセイが死亡した。


 オデッサ基地にたどり着いた敗残兵からランバラル隊の顛末を聞いたマクベはランバラルのような人材がザビ家御曹司の仇討ち等と言う私的な目的で浪費されていくとはジオンは負けるなと1人つぶやいた。なおこの考えは少し正確では無かった。ドズルはガルマの敵討ちを考えていた事は事実だが、その一方でV作戦とホワイトベース隊の実力を正確に把握していたからだ。一方でマクベはホワイトベース隊については無知であったので、いくら新型モビルスーツを搭載しているとは言え一隻の艦に拘る理由が解らなかったのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿